唯一愛した君へ
ふーん…
シンは、結構ロンマンチストだなぁと思いながら、
最後の1ページに目を向ける。
エピローグ。
どうやら、2人は結婚するらしい。
主人公の男が、
『ずっと…『優梨』』
最後の最後の主人公の言葉を読もうとしたところで、
シンがあたしの名前を呼んだ。
『ん?』
最後の言葉が気になるあたしは、目を文庫本に向けたまま返事をした。
フゥー…と、
シンが吐き出した煙草の煙が漂って来た。
その匂いが、一瞬あたしの鼻孔を強く刺激した。
『あいつ、死んだよ』
あたしは文庫本から目線を外し顔をあげて、
――…シンに視線を向けた。