唯一愛した君へ





頭がぼーっとしてる。
今のは聞き間違いなの?





『あいつ、死んだよ。』



それは…

普段聞くことはない言葉。



それなのにシンは……淡々と言った。



あたしは、驚いた。

驚くしかなかった。



シンがあまりにも淡々というから。

いつものシンと、違っていたから。



そして、言葉の意味がわからなかったから。





『…っ…な、んで…?』




心臓がぐるぐると、

ありえない速度で、おかしく動き回ってる。



まだ言葉の意味を頭の中で整理しきれない。


何度も何度もこの状況を理解しようとしてる。




それなのに――…




『俺が、殺したから』




――ドサッ



読んでいた本が手から滑り落ちた。…小刻みに震える。






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