唯一愛した君へ





やっと手に入れたのに…。

笑顔が見られるようになったのに…。




俺は、優梨に言うか言わないか迷っていた。




ちゃんと言おうと…
言っても優梨は俺の側にいてくれると、信じたかった。




でも………


馬鹿みたいと思うかもしれない。






『…鷹巳はいつ出てくんだ?』



低い低い似た声が出た。



『それははっきりとは分からないんですけど…実際本人はやってなかったらしいですから少年院にはならないらしいですけど、多分2年はかかると…』


『出て来る時分かったら教えろ』




まだ、言わないことにした。
どうせ今知っても優梨が悲しむだけだ…と言い訳を自分につけて。



嫉妬の心が渦巻いてたんだ。

悔しくて…ただ悔しかった。






俺はいつのまにか、優梨に本気になっていたから。





………失いたくなかった。







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