唯一愛した君へ
real intention
やっと……行ったか。
優梨を見送ってから玄関で、壁にもたれ掛かりながら崩れ落ちた。
これで、良かったんだ。
……はっきりとそう思える。
だけど、今日は。
………静かに泣かせてくれ。
――あの電話。
それがきっと始まりで終わり。
――『…慎斗さん!!梶貴鷹巳が10日後に出て来るらしいです!!』
――『…そうか』
――『今、手続きみたいなのがされてるそうです!!』
――『…分かった。サンキューな』
いつか来ると分かっていた報せ。
でもいざ来てみると、複雑な想いに押し寄せられた。
そして考えた末、俺は決意した。
3日後。
俺は…鷹巳に会いに行った。
『刑務所。』
俺はとりあえず、この歳まで入ったことはない。
でも暴走を続ければ、いつかは…入るかもしれない。
まだ名が広まってなくて良かった。
そうじゃなきゃ、ここには来れなかっただろう。
――5分間
その短い間に、俺には確かめたいことがある。
椅子に座り、不覚にも緊張しながら…あいつが来るのを待ってた。