唯一愛した君へ
reencounter
ハァハァハァ…
ちょっと走っただけで息が上がる。
…運動不足かもしれない。
だけどドキドキ…うるさいくらいのこの心臓の音は、走り出す前からドキドキ言ってて。
それが余計に、息苦しさを増長させて疲れさせてんのかもしれない。
逸るから。
気持ちが逸って逸って…しょうがない。
息苦しい。
でも…それを“苦”とは思わない。
本当にいるのかな…?
多少疑ったり、不安な気持ちはある。
いくら待っても現れなかった、過去があるから。
それでも…その2倍。
今度こそはいるという方に、賭けたいんだ。
シンのマンションからあの噴水までは、歩いて35分の距離がある。
そこを…走って走って。
寒い中を走って、耳が痛い。
かじかんでる。
キーンってする。
寒いと鼻がトナカイみたいに赤くなるあたし。
やっぱり鼻が痛い。
でも、走るのをやめようとは、思わなかった。