唯一愛した君へ
噴水は。
冬になると寒いから、あんまり好かれない。
そこの周りは跳ねる水を避け、少し離れている人ばかりだった。
噴水にだんだん近付くと、久しぶりの…水の音は、思いがけず心地良かった。
――初めて出会ったのは。
ここで……。
煙草を蒸しながら、興味さなそうにこっちを見ていた。
そこに、あたしは惹かれた。
理由はわからない。
けど、どうしようもなく。
その姿を追い求めたの……。
ハッ…と。
息を飲む程の瞳。
それはあの日と、何の変わりもない。
あたしの恋い焦がれた人。
――――――……真っすぐ、視線が重なった。