唯一愛した君へ
『おい少年、なにしてんだぁ?』
真夜中をさ迷っていた俺に声を掛けてきて…。
うざいと思ってシカトしていれば。
『行くとこねぇのか?…なら、“ウチ”に来い』
そう、言って笑ったんだ。
……………黒烏に入ってからの俺は、喧嘩三昧だった。
喧嘩を吹っ掛けられれば、迷わず買った。あの頃の俺にしてみれば、喧嘩とは、精神安定剤のようなものだ。
無性にむしゃくしゃする毎日に、暴れ回るとすっきりした。
だから簡単に、ドラッグのように喧嘩に溺れ、毎日毎日暴れまわっていた。
殴った奴らに怨みなんて、一つもなかった。
…ただ、満たされない日々をどうにか埋めたかったんだ。