唯一愛した君へ
次の総長受け継ぎが迫っていた頃。
黒烏には次期総長最終決定権は総長だったが、幹部には、指名権があり。
だから、マサは俺を指名した。
だけど、別になりたかったわけでもなければ、
黒烏に、愛着があったわけでもない。
そんな地位を与えられても、少しも誇りに思えなかったし、ちっとも嬉しくなかった。
むしろ、そんな重荷を背負うことに、煩わしさすら感じた。
それを伝えても、マサは俺を指名したことを、変えなかった。
正直、それに苛ついたことも、あった。
マサ………。
―――『…いずれわかるさ』
今でも忘れたくて忘れられない、あの言葉…。
お前は“この時”の為に、俺にその席を用意していったのだろうか…。