唯一愛した君へ
『…なあ、鷹巳。お前には大切な人がいるか?』
その時の俺には、意味不明な言葉で、鼻で笑ったんだ。
『…そんなやつ、欲しくもねぇ』
そう呟き、煙を吐きだした。
それを追うようにマサが煙を吐いた。
2つの紫煙がゆらゆらと、ゆっくり昇っていき……
『…いずれわかるぜ』
ぽつりと呟いた。
その時のマサの表情は………とても、強く清々しかった。
なんでそんな顔だったのか、不思議でたまらなくて、
ずっと忘れられなかったんだ――…。
今思えば、あれは強い決意を決めた顔だったんだ………