唯一愛した君へ
『付き合う?』
「へ?」
『そういうのは求めてねぇの?ただ、憧れみたいなもんなわけ?』
ふるふると、首を横に振った。
これは憧れなんかじゃない。
そんな弱いものじゃない。
『じゃあ決まりだな…』
その瞬間、煙草が地面へ落ちていき、踏み潰された――。
『梶貴鷹巳』
やっと知ることができた名前に実感がなかった。
ただ急速に心臓が速くなって。
別に変わったことなく、淡々したその人に。
『…鈴木、優、梨…っ…』
あたしは戸惑うばかりだった。
生きて来た中で1番、ドキドキしていた…。