唯一愛した君へ
そいつはコンクリートで出来た壁に寄りかかりながら、煙草をくわえていて…………それをゆっくり起こして。
そしてさも、楽しげな笑顔を浮かべてこっちを見た。
『…………なっ………!』
一瞬、心臓が止まるかと思った。いや、確実に止まった。
『やっときたな。遅ぇから待ちくたびれたぜ』
そういって、胸ポケットから吸殻ケースを取りだし、火を消した。
ふわっと、香るこいつのよく吸っていた銘柄。
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