唯一愛した君へ





恋、って何?





そう聞いても、
誰も教えてはくれない。


“あんたも、恋すれば分かる”


そう言って―――




ねぇ、


恋するのに

理由は
存在しなきゃいけない?


惹かれるのに
訳なんて必要なの?





それならあたしはおかしい。




意味もなく、
理由なんて存在せず、


あたしは――…


初めて出会ったその男を
知りたかったんだから……




釣られた魚のように
操り人形のように
見えない引力のように


奴へと足が勝手に歩いた。
もっと、もっと。
近付きたいと思った。



1番近くに
近付いて。
奴の心の底を
覗いてみたかった。



突然起こった衝動。
言葉では言い表せない。



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