唯一愛した君へ
それは…クラブで男達が話していた名前と同じだった。
心臓がわしづかみされたかのようだ。
同姓同名かも…
そんなくだらない言い訳で、まだ現実を信じようとはしないあたしがいる。
『カッコイイけど、かなりヤバイらしいわ…。来ないだなんて人、殺しかけたって噂が流れたくらい。その筋では、結構有名よ』
違う違う違う違う違う。
そう信じていた。
いや、あたしの願望だった。
違って欲しいって。
だけど現実は思い通りにはいかない。願望は願望のまま。
何故かさっと頭の中で割り切っているあたしがいて、動揺しながらもそいつの顔を探して確認している。
間違いない――
それは紛れも無く本人。
でも…あたしの知らない
『梶貴 鷹巳』だ…―――