唯一愛した君へ
ただ…
その瞳を見つめていた。
その瞳は揺れることなく。
灰色のまま。
あたしに向けられていた。
1mの距離。
そこで足が止まった。
速やる鼓動を抑えながら。
「…ねえ、あなたは何してるの?」
声が震えそうになる。
なんともいえない衝撃から。
自分がこんなことをする人間だとは、思わなかった。
言っている今でさえ、信じられないくらいだ。
だけど…
不思議と嫌な感じはしない。
むしろ、ドキドキした。
「あいつら、連れなの?
あなたはナンパに興味ないんでしょ?ちゃんと言ってあげたら?」
勝手に口が動いていく。
滑っていく、言葉たちが。