唯一愛した君へ
a street
数日後、それはやってきた。
目には見えない、電波を通じて。
「…3時に。いつものところで…」
低い声でそれだけ言った。
あたしは、重々しい気持ちを抱えながら頷いて「うん」と返した。
今までで1番…服に気合いを、入れた気がする。いや、服だけじゃない。髪も、メイクも、バックも、全部……。
気合いを入れて用意した。
いつもより少しだけ違う、あたしがそこにはいた。
多分…イイカンジになっていたと思う。
ゆっくりと、地面を踏み締めるようにしっかりと歩いた。
ケータイを握りしめ、祈りながら。
いつも待ち合わせるこの場所が、今は霞んで見えてしまう。
いつもは輝いているのに。
胸を弾ませて待つあたしも、今日はいない。