唯一愛した君へ
鷹巳はやってきた。
いつものように、バイクに跨がって。
バイクに初めて乗ったのは、鷹巳と付き合ってからそう経たないうちのこと。
初めて跨がったときは、かなり苦労した。
冷や冷やしながら、でも"怖い"なんて女の子らしいこと…めんどくさがられそうで言えなくて、目をずっとぎゅっとつぶっていた。
だけど、鷹巳が「右見てみろ!」って言うから、恐る恐る目を開けたんだ。そしたら…
綺麗な夕日が見えたんだ。
ちょうど沈んでく瞬間。
恐さも忘れて魅入っていたんだ…。
そうやってバイクを教えてくれたのは、鷹巳だ。
他にもたくさん。
新しいことを鷹巳から知る度に、世界は変わって見えていった。
鷹巳の腰にかけた手に、力を少しだけ篭めた。