唯一愛した君へ
少し走ると、あることに気付いた。
周りの景色をもう一度よく見て、確かめて見る。
やっぱり、
いつも待ち合わせる場所。
今日最初に会った場所へとまた戻ってきた。
なぜだか理由がさっぱり分からなくて…
あたしは言われるままにバイクから降りた。
鷹巳の目を見て訴える。
どーして?、と。
鷹巳はそれに気付きながらも教えてはくれず、ポケットからタバコを取り出して蒸す。
雑踏と噴水の水が跳ねる音が聞こえる。
世界は立ち止まるあたし達を…お構いなしで動いてる。
鷹巳にふと目を向けた。
タバコの灰が落ちそうになっている。
だけど何故か鷹巳はぼーっとしていて気付かないようだ。
「鷹巳っ! タバコの灰が…」
そう言おうとした瞬間、視界が変わった。
鷹巳がいきなり立ち上がったからだ。
そしてタバコは…
立ち上がったと同時に地面へと落ちていき、
今――鷹巳に踏み潰された。
あたしは何故かタバコを追っていた。スローモーションのようで、音はしないはずなのに効果音が聞こえた気がした…。
ボトッ、て。