唯一愛した君へ
訳がわからない。
他人のくせに迷惑すぎる。
余計なお世話じゃないか。
勝手に喋った自分に問いかける。
けど、もうひとりのあたしが言う。
動かせてみたい。
心とは言わない。
せめて瞳を…
揺らさせてみたい。
フッ、と。
そいつはそう少し笑って、
くわえていた煙草を指に持ち、アスファルトに落としていった。
落ちていく煙草は
スローモーションのように
あたしはそれを目で追って
その人の足に、踏み潰された。
そしてその足の持ち主は、両手をジーパンのポケットに突っ込みながら立ち上がる。
通り過ぎ様に、片手をポケットから出して…
…あたしの頭に乗せられた。
「あんた、変わってる」
表情を少し歪ませて出来たそのうっすら笑う顔が、
心にこべりついて、離れなくなったんだ。
あたしは、一瞬で虜になった。