唯一愛した君へ
unexpected



生きていく意味を無くしたら、
あたしは一体どうやって…
生きていけばいいんだろう?





まだよくわからない。
幻、みたいなものに思えて…。

もしかしたら
最初から何もなかったんじゃないかって。
幻だったんじゃないかって。
“鷹巳”なんて人とは…
出会ってなかったんじゃないかって。

――思えてもくるんだよ。


だって何ひとつ、
鷹巳と過ごした時間を形として証明出来るものは、あたしは持っていないから。



鷹巳はもう見えない。
どうしてあたしは追いかけることもしないの―?


涙が後から後から、零れ落ちて来て止まらなかった。

泣きじゃくって、
しゃがみ込んで…
喉が詰まって苦しいのに
かすれた声で唇をずっと
あいつの名前に動かした。



――――“鷹巳”――






もう、会うことのない人。




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