唯一愛した君へ






『ちゃーんと、洗濯してあるから綺麗やよ?笑』




あたしが受け取るのに躊躇していると、そういってきた。






『…あ……じゃあお借りします…』






気付いたら顔中が濡れていた。


きっと雨と涙が混ざってしまったんだろう。





今じゃ、どれくらい泣いたのかもわからない……






『俺、榊原慎斗言うや。

……君は何て言うん?』





――榊原慎斗――




その名前に聞き覚えがあった。



あたしの知り合いに20歳くらいの男の人はいない。



だとすると……―――








ああ、思い出した。





この人は鷹巳と睨み合っていた族の総長だ……………。






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