唯一愛した君へ
『優梨、はいっ』
そういって手を差し出される。
あたしが首を傾げていると、
『握手や、握手っ!』
そういって、あたしの右手首を掴まれて“握手”をさせられた。
『出会った記念やっ☆!!』
その瞬間、腕を振るいあげた。
シンが笑うと、周りのものが一気に明るくなる――。
嫌なことも、少しだけ忘れられていた。
『きゃあっ!
痛い痛いいたたたぁ!
腕もげるって…っ!!笑』
気付いたらあはは…と自分まで笑顔になっていて、声をだして笑っていた。
『あ!優梨タメ語使うとるやんっ♪』
あ………ほんと、だ。
きっとシンの影響、だ。
いつの間にか大雨だった空には……
虹が出ていて、
真っ青な晴天に変わっていた。