略奪*アリス
「アリサ?」
…ふと、名前を呼ばれた気がした。
だけど、この箱の中に私の名前を呼ぶ人なんているはずもなくて。
私はまた、視線を落とした。
この教室に、私の居場所なんてない。
小学生のときから、そう思っていた。
轆轤院 亜璃紗(ろくろいん ありさ)。
それが、私の名前。
珍しい、なんてよく言われるけれど、現にその苗字の自分からすれば、そんなの普通だった。
新学期での出席確認の時は絶対に名簿2度見する先生が1人はいるし、いい加減飽きてくる。