たまにはお伽話でも

お妃さま
「鏡よ、鏡。
この世で一番美しいのはダレ?」



「それは白雪姫でございます」



「ふぅ…とうとうこの日が来たのね。
すぐカルチャースクールに受講を申し込まなきゃ」



「おや。
すぐ猟師を呼んで白雪姫殺しを命じたり、すぐリンゴに毒を仕込んだりはされないので?」



「バカねェ。
女の美なんて、一時のモノよ?
今あのコを殺して『一番』に返り咲いたトコロで、まだすぐ他の誰かに追い抜かされるわ」



「そりゃまぁ、確かに…」



「だから私は若さや美しさに左右されない知性と教養を身に付け、老いて尚気品溢れる貴婦人として君臨してやるわ」



「なんという賢明なご判断。
さすがはお妃さまでございます」



「まぁでも…
近場に『一番』がいるのは目障りだから、あのコにはうんと甘いモノを与えて、うんと甘やかしてあげるわ」



「え?目障りなのに?」



「うふふ。
痩せれば美人のわがまま姫なんて、面白そうじゃない?
ネクロフィリアの変態王子にだって相手にされないでしょうねェェェ」



「なんという策士…
いやいや、賢明なご判断…」



「策士で結構よ。
女って大抵そうじゃない?」


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