Share Heart
昴は悲しげな顔をしたが、きちんと教えてくれた。
「俺は自分の父親を知らない。父親については何も知らない。前に母親に聞いたら超激怒されてさ。それからは怯えて、いつの間にか聞きたくなくなった。母親は水商売やってた。というか、やってる。夜は基本いなかった。毎週水曜日だけは休みで…だから水曜日は嫌いかな。日中は俺が学校に行ってたからあんまり知らないけど、店の客を家に入れてた。たぶんそれで金もらってたんだと思う。そんな母親でも嫌いになれなかった。確かに水商売やってるし、酒癖は悪かったし、料理してくれたことはないし…あんまいいとこはないけど、俺にとってはたった1人の親だ。金も払ってくれてたしな。それにそんな状況だったからこそ、自分の力で生きていく術を身につけられた。でも…小5のときだった。帰り道に1人になったときに声をかけられたんだ。『お前、今原ちゃんの息子だろっ?』って。相手は明らか酔ってたし、俺の勘でヤバイと思って家に逃げようとしたんだけど、捕まえられて…足には自信があったのに意味なかった。」
「俺は自分の父親を知らない。父親については何も知らない。前に母親に聞いたら超激怒されてさ。それからは怯えて、いつの間にか聞きたくなくなった。母親は水商売やってた。というか、やってる。夜は基本いなかった。毎週水曜日だけは休みで…だから水曜日は嫌いかな。日中は俺が学校に行ってたからあんまり知らないけど、店の客を家に入れてた。たぶんそれで金もらってたんだと思う。そんな母親でも嫌いになれなかった。確かに水商売やってるし、酒癖は悪かったし、料理してくれたことはないし…あんまいいとこはないけど、俺にとってはたった1人の親だ。金も払ってくれてたしな。それにそんな状況だったからこそ、自分の力で生きていく術を身につけられた。でも…小5のときだった。帰り道に1人になったときに声をかけられたんだ。『お前、今原ちゃんの息子だろっ?』って。相手は明らか酔ってたし、俺の勘でヤバイと思って家に逃げようとしたんだけど、捕まえられて…足には自信があったのに意味なかった。」