Share Heart
私はそのときふと動いてしまった。

「…私があげます。悠紀さんに…求めている愛を」

私は神無月をそっと抱きしめたのだ。

そのときは何も思わなかった。

ただただ、神無月の力になりたかった。

神無月に幸せになってもらいたかった。

すると神無月もそっと私を包んだ。

そして、耳元でそっと

「なんでだろうな…花音がいれば大丈夫な気がする…」

と言った。


もしかしたら、このためにあのシェアハウスがあるのかもしれない。

今まで傷をつけられ、本当の居場所を求めていた人。

それが共にいることで痛みを共有し、自分だけの居場所をつくる。

そして、愛を深める。

そのために作られたのではなくても私はそうしたい。
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