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私はキャリーバッグを自分の後ろに隠した。

「あっ、ごめんね。片付け中だったかな?」

「いえっ!大丈夫です!」

私が開けたスペースに望田が座る。

座り方が体育座りというところが女の子っぽい。

つられて私も座るが、なぜか正座になってしまった。

「私と話すときはタメでいいからね。それに呼び方も。はるちゃんって呼んでね。」

「えっ…と…あの500円ルールは…?」

望田に言われて、ふと私は500円ルールを思い出した。

神無月が言った1つ目。

『上には逆らうな』

「あーあれね…あれはそういう意味じゃなくて、逆に私が頼んだら絶対っていうか…」

望田はんー、と頭を悩ませていた。

でも、それも諦めて

「とにかく!私が花音に『はるちゃん』って呼ぶことと、『タメで話すこと』を頼んだってこと!」

「…はー」

これは絶対だということなんだろう、と解釈した。

すると用件はこれだけだったのか、望田はスッと立ち上がった。

「みんな優しいから、そんなに固くなることないよ。困ったときはいつでも相談のるから!」

「はい…じゃなくて、うん。」

先輩に敬語を使うのがクセになってしまって、うっかり出てしまい言い直す。

すると、望田はさっきと同じようにふふふっ、と笑った。

ドアを少し開いたところで止まった。

「みんなのところに挨拶しにいったほうがいーよ。特に悠紀は。悠紀と仲良くできれば確実に拓翔とも仲良くできるし…悠紀はリーダーだしさ。まぁとにかく挨拶回りしときな!」

「了解です!」

私がそう言うと再びニコッとし、部屋から出て行った。

敬語使っちゃったけど、大丈夫だったな。

私の中の望田の株は少し上昇した。
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