Share Heart
今原は

「そっか…」

とつぶやいた。

シェアハウスでは唯一の同い年。

とてもいい相談相手だ。

「悠紀さんには?」

「えっ?」

「悠紀さんには言ったのか?」

「いや…言ってないけど…」

思いもよらない言葉だった。

「悠紀さんは一応ここのリーダーみたいなもんだろ?言っておいたほうがいいんじゃねぇか?」

「…そっか…そうだね!じゃあ言ってくるよ!」

私は早速立ち上がり、ドアを開けた。

でも、そのとき忘れたものに気づき、振り返った。

「昴!ありがとね!」

「おう!」

私はそっとドアを閉め、神無月の部屋に向かった。

トントントンと3回ノックする。

「はい。」

中から神無月の声が聞こえる。

「花音です。話があって…」

「入れ」

私はそっと中へ入った。

相変わらず綺麗な部屋だった。

真っ白で物が少なくて。

私はドアを閉め、その場に立ち止まった。

向かいには椅子に座った神無月が本を読んでいた。

「で、話ってなんだ?」

「私、1度帰ろうと思うんです、実家に。」

その途端、神無月は目を見開き、本をパタンと閉じた。

「なんでだ?花音が帰る必要はないだろ?」

「父にバレたみたいです。色々と。だから、決着つけようと思って。このままじゃいけないってわかってますから。」

「だからって…また閉じ込められたらどうするんだよ!?」

神無月は驚くほどに血相を変えていた。

「お前が行ったからって解決しないかもしれないんだぞ!?リスクを犯してまでやる必要はないだろ!?」

「でも、これは私自身が解決しなきゃいけない問題なんです!このままにしておいたら…美音に何かあってからじゃ遅いんです!!」

冷たい空気が漂った。

部屋の白さもよりいっそう、そう感じさせた。

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