Share Heart
「とにかく!私は1度実家に帰ります。報告はしましたからね!」

神無月は目線を合わせてはくれなかった。

思ったことだけ伝える。

そうしなければこの思いは消えないだろう。

「…悠紀さんなら理解してくれると思ってました…ここにいる家族はみんな…私のことをわかってくれるって思ってました…」

私は神無月をまっすぐ見つめる。

でも、イライラしているのか貧乏ゆすりを始めた。

「でも、違うんですね。私がバカでした。」

もちろん私もイラだっていた。

シェアハウスの人間は誰よりも本当の親の大切さがわかってるはずだ。

本当に自分のことを思ってくれる、大切にしてくれる親の意味を。

私だって親のことは嫌いだ。

自分の思い通りにしたい父も、それにただ単に従って自分と家を汚したくない母も。

でも、私はまだ捨てたくない。

みんなは切り捨てる道を選んだが、私は美音のために切り捨てるわけにはいかないのだ。

それをみんなが理解してくれると思った。

たとえ、兄弟がいなくとも、家族の大切さはわかってくれると思っていた。

でも、違かった。

神無月が違う思いをしていてもそれでもいい。

私は我が道を行く。
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