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美音がガチャリとドアを開ける。

「あら?どちら様?」

大きなソファに座った母が振り返った。

「美音です。お姉様もいます。」

両親の前では美音は私をお姉様と呼ばなければいけないルールなのだ。

「お久しぶりです。お母様。」

「何しにきたの?」

母は私を見ないまま、優しくでもどこか嫌味ったらしく、そう言った。

「お父様に申し上げたいことがあったので。」

「何を言うつもりなの?」

「お母様には関係のないことです。」

「何を言うつもりなの?」

父に言う前にフィルターを通せということか?

ふざけんな。

何かが切れた。

「…あなたは父の命令に従っているだけ…」

「何を言ってるの?」

「あなたが父の言いなりなら、あなたに言わなくても父を動かすことが出来ればいい。そういうことです。」
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