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母はスタッと立ち見えなかった顔を見せ

「おかえりなさい。」

と言った。

美音も同じだ。

でも、私は挨拶なんてする気がない。

キッと睨みつけた。

だけど父の表情は変わらなかった。

いつもそう。

何があっても動じず、無表情。

怒りもしなければ、笑いもしない。

そういうところがしゃくにさわる。

「用があるなら早くしてくれ。私だって暇じゃないんだ。」

あーもう。

なんなの?はっ?

「今日は意思を…私の思いを伝えに来ました!」

怒りの最高点に達していた。

「私はここには絶対に戻りません。何があろうと。」

「あそこはひどいところだ。寮だと聞いていたから入らせた。きちんと生活を管理してくれる人がいると思ったからだ。しかし、そうではなかった。それならばいさせる理由はない。」

「帰る理由もないですけど」

「お前は勉強だけして、いい大学に入ればいい。今のままでは勉強時間が足らない。」

「私はあんたの描いたままに…理想の娘になるつもりはない!私は私の道を自分で決めて生きる!」

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