Share Heart
花音は電話を突然切られ、疑問に思った。

それに伝えるって…何を?

とりあえず、心配してくれていることはわかった。

色々思うことはあったが、今は父とのことに専念すべきだと思った。

そのとき、トントンとノックされた。

「お姉ちゃん?美音だけど、入っても大丈夫?」

「うん。いいよ。」

そっとドアを開け、美音は入ってきた。

「さっきはごめんね。力になれなくて。」

とうつむいたままボソっとつぶやいた。

「いいよ…これは私の問題なんだし。とりあえず座ったら?」

私は部屋の真ん中にある椅子に美音を座らせた。

そして、私自身も美音に向かい合うように座った。

「ねぇ?どうしたらいいと思う?どうしたらあの人を黙らせられる?」

「…わかんない。正直、美音もお父様と正面から話したの初めてだし…」

そういえば、そうだ。

私たちは父と直接話したことがないのだ。

それで相手の気持ちを分かれというほうが無理な気がする。

「お姉ちゃん…帰りなよ。」

「えっ?」

それは突然の言葉だった。

「まだ決着ついてない」

「でも!お姉ちゃんはやっぱりここにいるべきじゃないよ。お姉ちゃんは自分の力で自由を手に入れた…その時間を一瞬たりとも無駄にしてほしくないよ。」

美音の言葉は心に響いた。



< 85 / 111 >

この作品をシェア

pagetop