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部屋に美音を残したまま、何も考えず玄関へと向かっていた。

自分でも何を考えているのか分かっていない。

ただ足だけが前へと動いているのだ。

しかし、玄関に靴を履いて外に出ようとしたときだった。

家政婦3人が私の前を塞いだのだ。

3人が壁になっていた。

「花音様。旦那様から伝言を預かっております。」

真ん中に立っている家政婦が言った。

「もう、あの寮に戻らせることはしない、と。ですので、花音様の外出を許可することはできません。それから、スマートフォンは預からせていただきます。家の電話回線も切らさせていただきました。」

私はその場に座り込んでしまった。

あっけなく私のポケットに入っていたスマートフォンを抜かれ、私は外との繋がりを完全に絶たれた。

私のせいだ…

私がいけないんだ…

私がこんなことをしなければ誰にも迷惑はかからなかった…

そもそも私がいなければ…

「お姉様!」

そこに美音が来た。

「どうかされたんですか!?」

すごい剣幕で家政婦を睨む。

「旦那様の命により、花音様がこの家から出ることを禁じます。スマートフォンも回収いたしました。この家は電話回線もすでに切ってあります。」

「あなたたち!自分が何してるのかわかってるの!?これは監禁よ!」

「ですが、これは旦那様がおっしゃったことなので。私たちは従うことしかできません。」

美音はやりきれない顔をした。

そして、私に目を向けた。

以前、私は目が虚ろでどこを見ているのかわからない状態だった。

「お姉様。1度部屋に戻りましょう。」

私は立ち上がり、荷物を持ち、再び自分の部屋へと戻った。

その間も動いてはいるものも、全て美音に従っているだけ。

自分で動いてはいなかったのだ。
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