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どうやら門番は連絡を入れたらしい。

多くの使用人が出てきたが、私と気づいて声をかけてはこなかった。

神無月も特に何も言わずにただ私の後ろをついてきた。

これは屋敷の中に入っても変わらなかった。

ところが…












「何をしに来たの。もうここはあなたの家じゃないわ。」
















そこにいたのは母だった。

「戻る気なんてないわ…こんな家、戻りたくもない。私は美音を助けに来たの。あなたに用はない。」

「捕まえなさい。」

母の言葉で動き出したのは…








スーツに身を包んだ男たちだった。

「…なんでっ!」

私はもちろん神無月の動きも止められた。

どうにか腕1本でも、と抵抗をするが男たちの手は離れそうもなかった。

神無月も必死に抵抗しているが、男たちのガッチリとした体格を見る限りそれは不可能だろう。

「お父様が雇ったのよ。そう…あなたが来てね。」

母は神無月を見た。

「美音は絶対に渡さないわ。あの子は正当な綾瀬家の後継者よ。きちんとした教育を受けて、これからの日本を背負っていく人間になるの。あなたみたいなクソにはさせないわ。」

クソって…ふざけんなよ。

「てめぇ!ふざけんじゃねぇよ!」

隣から怒声が聞こえた。

「花音はお前の子どもだぞ!?自分のことだけ考えやがって…っ!親なら自分の子ども守れよ!」

神無月…



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