☆腹黒王子に溺愛された悪女★
私は確かに忠告した。
私を利用したら仮面の皮を剥がしてやる、と。
それでも懲りずに利用するなんて、
どこまで馬鹿にすれば気が済むのかしら!
1番離れてるクラスと言えど、早歩きで向かえばサッサと着く距離だ。
休み時間の騒がしさはウチのクラスと大して変わらない。そんな1組に足を踏み入れた瞬間ーーーー
「わっ!櫻井さんだ!」
「えー、ホントだ!なんで!?」
「櫻井さんだーッ!!」
近くの人から順に騒ぎ出す。
櫻井さんだー、って...不愉快極まりない!
「滝川、いる?」
1番近くで驚いていた男子に問いかけると、顔を真っ赤にして首を横に振った。
居ないのか。
トイレ?
ドアの前で待ち伏せしてやるか?
いや、それはなんかプライドが許せない。
もうすぐチャイム鳴るし
すぐ戻ってくるかもしれない。
少し待とうか...
そう思ったのも束の間。
「直樹に何の用」
1人、鋭い目つきでコチラを睨みつけてる女が居ると思ったら、
低い声でそう投げられた。
.....どこかで見た事あるような。
「言う必要なくない?居ないなら戻るわ」
「何それ、感じわるっ」
「なんで用件をアンタに言わなきゃなんないのよ?.......あー、思い出した。アンタ、“アキちゃん”だ」
そうそう、
初めて滝川に会った時に、
襲いかかってたアキちゃん。
そら突っかかってくるわ。
嫉妬という醜い心の刃が
私に向けられているようだ。
......けど、
腹立つんだよね。
喧嘩売られたら買います。
目には目を、だから。
「この前、変な噂流したよね?私がアンタから滝川を奪った、とか」
「....ッ本当の事しか言ってないけど!」
「へぇ?じゃあ滝川は芯のない男なんだね〜、あっちにフラフラ、こっちにフラフラ」
「はぁー!?」
「違うの?」
ーーーキーンコーンカーンコーン...
あれ。
チャイムが鳴っちゃった...。
悔しそうに睨みつけてくるアキちゃんに向けてフンッと鼻を鳴らし、
急いで自分のクラスに戻った。