☆腹黒王子に溺愛された悪女★
突然響いたその声は、
だいぶ離れた先で発せられた。
「.....佐々木さん?」
登校して間もない姿で、私たちの会話を聞いていたのか怒りMaxで近づいてくる。
今更だけど...
佐々木さんは黒縁メガネ、おかっぱ頭、150㎝あるかないかの小ささで、
まぁ何が言いたいかと言うと、
目立たない。
このご時世に珍しい地味さ。
そんな彼女だから当然...
「は?...だれ?」
「何急に、あいつ変じゃね?」
「怖っ!真面目キャラのキャパシティ超えてんでしゃん」
....そうなる。
けど、佐々木さんがまさかお怒りになるとは...
私も衝撃に襲われて、ただ呆然とした。
いつの間にか隣に立つ佐々木さんは、
私をガン無視で彼女たちに暴言を吐く。
「あなたたちみたいな人を世間一般では、勘違い野郎と呼びます!!」
「はぁー!?何こいつ!」
「滝川くんが好きなのは櫻井さんなんだから!」
いや違うよ。
「滝川くんが櫻井さんに何をしようがあなたたちには何を言う権利は無い!」
「はぁ!?むかつくー!」
...佐々木さんは多分気付いてない。
これは滝川を口実とした、女の醜いプライド争いに発展している事を。