☆腹黒王子に溺愛された悪女★
「.........なぜ?」
昼休み。
朝っぱらから下駄箱で騒ぎを起こしたもんだから、色んな人から色んな目で見られるのに疲れた私は
逃げ場に体育館を選んだ。
いつもはサッサとステージ裏に忍び込んでしまうけど、部活の事を考えていたせいで無意識にバスケをやってる男子達を見てしまった。
......滝川が、バスケしてる。
「マジだ....」
ふざけて遊ぶ様子はなくて、
初めて見る真剣な顔に、普段じゃ考えられないキメ細かい動き。
気付かれないように静かに、いつもの場所へと足を運ぶけど...
どうしても目が奴を追いかけてしまう。
...普通にかっこいい。
でもそれは認めたくない!
複雑な感情が頭の中をパニックにさせた。
かっこいい?
やめろー!そんな事を思うな!
相手はアイツだ。
自分のために人を利用する男だ。
最低じゃない。
初対面で抱きつかれて、次はキスして、女の敵だ!
見ないように...
見ないように...
でも最後に、と一度そっちを向いてしまったのが最後...
手で汗を拭いながら、
あの時と同じ目で...
真剣な目で、こっちを見ていた。