☆腹黒王子に溺愛された悪女★
どの点から突っ込めば良いのか。
まず、あり得ない!
抱かれてる時って...無いでしょ!
僕でも俺でも猫かぶりでも何でも良いけど、冗談はよし子さんよ!
「あのさ、そろそろ私怒るわよ?」
「どうして?」
「どうしてって...どれだけ人を馬鹿にする気よ。てかどれだけ同じことを言わす気よ。」
「馬鹿にしてるのは君だよ」
一息つく間もないくらい、すぐ言い返された。
同時に、
滝川の鋭い目が、
私を硬直させる。
「君に釣り合う男って、例えばどんな奴の事を言うのかな?」
「..........こッ!」
こいつ! 朝の事知ってる!?
侮れない!
女の情報網は侮れん!
しかも大量に盛って、完全に悪口と化して伝わってるパターンのやつだ!
「少なくともアンタみたいな奴じゃないのは確かよ!」
「俺の何を知ってて言うの?」
「自分の身元安全のために人を利用するような........ぅわッ」
まただ!
何度この手にハマってしまうんだ!
抱き寄せられて、滝川の腕の中に収まる私は言葉を失くした。
せめて...最後まで言わせてくれますかね!?
「なに?続けていいよ、身元安全が何?」
腹黒い!
予想以上に腹黒い!
ギューッと抱き締められたままじゃ、言いたい事も言えない。
言いたい!
でも声にならない。
その葛藤の中でなぜか、
佐々木さんの言葉が頭から離れない。
...本当に着痩せするタイプなんだ。
いやいやいやいや!!
いやぁー!!
何考えてんだバカ野郎!!
「ちょっと離れて...ッ」