☆腹黒王子に溺愛された悪女★
さっさと教室から出てしまおうと思ったその時、
「あー、見つけた」
滝川の、ゆったりした声が聞こえた。
条件反射で振り向いてしまう自分が嫌いだ…。
滝川が見つけたのは、
さ、佐々木さん?
彼女を指差してる。
同時にビクッと怯える姿に、思わず共感してしまった。
「僕のこと睨みすぎ」
........え。
いやいや佐々木さんに限って滝川を睨むとか有り得ないから!
なに因縁付けてんだよって言いそうになったけど堪えた。
......見えてしまったから。
佐々木さんの不貞腐れた顔を。
「なんで...?」
確か佐々木さんって滝川の大ファン。
思わぬ出来事に鞄を持つ手から力が抜ける。
「.....富士山も近づけばゴミだらけってやつです」
.........はい?
佐々木さん、何を言いだすかと思いきや、
山?
そして何故...不機嫌なのか。
それは案外早く答えが出る。
「滝川くん、最低です」
「ん?」
「あなたの心無い言葉や行動が、どれだけ櫻井さんを痛めつけてるか分からないんですか?」
な.......ッ!!
なんて嬉しい代弁なんでしょう!
感激!
もっと言ってもっと言って!!
「好きなら守るべきではないでしょうか」
ドーンと堂々と言い放った佐々木さんを見て、滝川は...笑っている。
なぜ笑う!?
私の方を見ながら奴は言う
「良かった良かった」
何が良かったんじゃ!!