☆腹黒王子に溺愛された悪女★
躊躇う事なく、
カーテンを開いて足を踏み入れた。
「...ひゃ!!」
突然カーテンを開けたもんだから、女の子は驚いて悲鳴をあげた。
驚いているのは女の子だけじゃなく...その子の下にいる男もビクッと肩を跳ねらせた。
てか...
私も驚いたわ!
取り込み中かなーとは思ったけど、まさか...男が女に押し倒されてるとは思わない。
「…なに、して...」
言葉になるかならないかの声で喋る私が言い終わる前に、
「櫻井さん...ッ!!」
突然立ち上がるなり、ガバッと私を抱きしめる男。
「な...ッ」
カーテンを開けてからの数秒で
思考が追いつかない。
コレは誰?
私の事を知ってるの?
...あぁ、悪女って噂が広がってるのかな。
いやいや、それより
何この状況!
「ちょっと何す...」
「黙って」
「!?」
腕の中にいながら、
耳元でそう呟かれた。
チラッと見える、相手の女は
呆然とコチラを見ている。
...そりゃそうだ!
男に逃げられた上に、別の女を抱きしめていれば!
「ちょっと、早く離れて」
「黙ってって言ったでしょ?」
男は妖しく笑みを浮かべた。