ビオラ、すずらん、年下の君
突然…意外な展開。
私達の足元では大きさも毛並みも違う2匹のワンコが、お互いのニオイを嗅ぎあったりしてじゃれあってる。初対面なのに、すっかり仲良しになったみたい。
少しの間の後、
「あの…」
彼女の何も付けていない唇から発せられた声は、わずかに震えていた。
「単刀直入に訊きますけど、吉田君とお付き合いしているんですか?」
「へっ!?」
それにしても突拍子もない質問。だから私の声もなんだか変に甲高くなってしまった。
「なぜ、そんな風に思うの?」
年上の女として平静を保ち、なるべく落ち着いた声で訊いた。
いきなり出逢った子に、妙な質問をされて真面目に答えるほど私はお人好しじゃないから。
まあ、付き合ってないって馬鹿正直にいうのもなんだかねっていう意地悪な気持ちが芽生えてしまう。
(それは多分、夏の朝を楽しん出たのに邪魔されたからかな)
「クラスの男子が言ってたんです。吉田君、どうやら年上の女の人に片想いしているみたいだって。20代前半のOLさんだって。どう考えてもお姉さんのことですよね?」
「……」
私の口は開いたままになる。