ビオラ、すずらん、年下の君
はあっ?って気分。
聡太君が私を?
そんなわけないし、なんの根拠もないし!
「あの、私が言う筋合いじゃないかもなんですけど、私の親友の山田涼子って子が吉田君のこと、本当に好きで好きで。
でも、聡太君に好きな人がいるって聞かされてからは涼子、本当に落ち込んでて。受験生なのに勉強に集中出来ないみたいで。
北海道の大学受けたいって頑張ってるのに。私、あの子の親友として彼女を助けてあげたいんです!」
そ、そんなこと私に言われても…
確かに聡太君とは色々あるけど…
困惑するしかなくて、私は視線を下に落とした。鈴蘭とカツオは無邪気にじゃれ合ってて、飼い主達の軽いいざこざは知る由もない。
そんなワンコ達を見ているうち、私はだんだんに可笑しくなってきて、クスクスと笑い出してしまった。
「ええええ、なんで笑うんですか?
笑うことじゃないでしょ!私なんか変な事言ったかな?」
またまた真っ赤になるあずみちゃん。
違うよ。私は目の淵に溜まった涙を指先で拭った。
「…ああ、ごめんなさい。なんか感動しちゃって。あなたお友達想いなんだね」
無鉄砲な若さ。
「…」
トマト顏のまま、うつむくあずみちゃんはカツオのリードをグッと握りしめた。