ビオラ、すずらん、年下の君
「なにやってんだ、お前、俺に怪我させる気か?大騒ぎするんじゃねえ!」
腕を引っ張られた反動で、馬場友と私の身体が密着した。馬場友は力づくで私を自分の両腕の中に押し込んだ。
「やめてよ!」
両手を突っ張って抵抗したけれど、馬場友の骨ばった腕は意外に力があって、私はなかなか逃げられかった。
耳元に近づいてきた赤黒い唇が気持ち悪くて、私は身を仰け反らせた。
「若いっていいなあ、和香子の裸、綺麗なんだろうな…触り心地いいんだろうなあ」
「離して、嫌だったら!警察に言うから!」
「…はあ?」
警察、という言葉を私が口にした途端、馬場友の顔色がさっと変わった。
据わった目で、私の身体をゆっくりと壁に押し付けた。
「何だと…この俺を犯罪者にする気か?ふざけるな…」
馬場友が私のブラウスの胸倉を掴んだ。左右にぐっと引っ張られ、ボタンがはち切れそうになる。馬場友が何をしようとしているのか察知した瞬間、私の口から悲鳴が出た。
「やめて!破らないで!乱暴なことは止めて!」
私の目から涙がこぼれ出していた。なぜこんな目に合うんだろう。恐ろしくて悲しくて両手で顔を覆った。
「わめくな!でかい声出するんじゃねえ!大人しくしてろ…あ?」