ビオラ、すずらん、年下の君
「…お弁当忘れただろ…?おばさんに頼まれて予備校行く途中に届けに来たんだ。インターフォン押そうとした時、悲鳴と物音が聞こえてきたから、ドア蹴破って入ってきた。間に合って 良かった…大丈夫?」
「うん、大丈夫…」
涙を拭いながら、聡太君が来てくれたことに心から感謝した。
「おや、佐原さんの知り合い?ご用件が済んだらお帰り下さい。今、仕事中だもんで」
馬場友がシッシッと手を振りながら言った。
「…こんの野郎…」
「止めて、聡太君!」
馬場友に掴みかかろうとした聡太君を私は必死に止めた。
「こいつ、和香子を襲おうとしてたじゃん、ぶっ飛ばしてやる!」
普段優しくて、穏やかな聡太君が真っ赤な顔をして怒ってるところなんて見たくなかった。私の為に争って怪我なんかしたらものすごく悲しい。
「ぼ、暴力はダメだよ、キミ。落ち着いて」
馬場友は部屋の隅で縮こまってブルブル震えていた。
いつもエラそうにしてる癖に。
「こんな最低最悪なやつ、ほっておこう。私、しばらく会社お休みするから。聡太君、帰ろう」
私は聡太君の腕を引っ張った。