ビオラ、すずらん、年下の君
キラキラ光る聡太君の瞳。伏せたまつ毛の眼差しが優しげで。結構、お喋りなんだね。こっちまで嬉しくなる。

「わあ、聡太君がエプロン着けて、いらっしゃいませー、とかやってるとこ見たい!」

私がはしゃぐと聡太君は少し赤くなった。けれど、すぐに端正な顔を少し厳しくした。


「動物は嘘をつかない。こっちが愛情を注いであげればそれ以上のものを返してくれる。だから俺は動物が大好きなんだ」

「そうね。ペットは飼い主を癒してくれる。家族や友達と同列な存在。うちにきたのは縁だから幸せにしてあげたい。だから一生懸命お世話してあげたいと思う」

「和香子んちに来たペットは幸せだよね。ぶっちゃけ、俺、和香子んちで世話になっててホントそう思う」


「そう?うちバラバラなのに?」


「あーなるほど。そこがいいのかも?」


聡太君がいたずらっぽく笑った。
会話は弾み、お昼ご飯を食べ終えても私達は立ち上がらなかった。カワイイイルカ達のショーが始まる時間もなっても。

徐々に優しくなっていく空と海を眺めながら、雑談をしているうちに今、この時間を何者にも邪魔されたくない、と思った。(イルカはまた次の機会でもいいよね?って聡太君もそう思ってたと思う。多分)


「これ見て」

聡太君がパスケースから一枚の写真を取り出した。




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