ビオラ、すずらん、年下の君
「犬と猫と鳥が同じ屋根の下で平和に暮らせるの?って思うでしょ?
うちのペット達の力関係って意外にも1番強いのがオカメインコの『ビオラ』なの。次は黒猫の『ブラッキー』。身体は1番大きいのに1番気が弱いのは柴犬『すずらん』。
ビオラってね、縄張り意識が強いの。性別不明なんだけど、多分オスかな?
後からうちに来たくせに羽を広げてバタバタしながら、ギャギャ!ってすずらんを威嚇するの。
優しい女の子のすずらんはキューンってしっぽ丸めちゃう。ブラッキーは男の子なんだけど、子猫の時にビオラに鼻を強烈に突かれてから、完全にビオラの舎弟だし。
ビオラが鳥籠から出てくると、やべぇ、みたいな感じで部屋の隅っこで様子伺いながら丸まってるの」
「へえ、面白え!楽しそうだな。和香子んち。俺も幼稚園の頃は犬飼ってた。でも引っ越してからは、ずっとマンション住みだからペットといえば、ハムスターや文鳥とかセキセイインコ。
亀とかも飼ったことある。お祭りの縁日で取ったやつ。大きくなり過ぎたから、吉田煙草店の裏庭にある池に放したんだ。今だに元気なんだよ」
「亀?名前付いてるの?」
「メカって付けた。よくひっくり返って起き上がれなくなってるから」
「面白い!」
聡太君が動物好きなんて、なんか意外!
私のはしゃぐ声、バスの中で結構、響いてたけど止められなくて。
話が弾んでるのに、無情もバスのアナウンスが終点です、と告げた。