ビオラ、すずらん、年下の君
「あ、待って!」
私は飛び起き、部屋の中を瞬時に見回した。
そんなに散らかしてない。下着も部屋干してない。
よし、オッケー!
「いいよ、入って」
ドアの間から聡太君が姿を表した。いたずらが見つかった子供みたいな上目遣いにして。
「お邪魔します」
私の部屋をジロジロ見ることなく、入るなりすぐに窓際に置かれたベッドに腰を下ろした。
遠慮している感じが全然しなくて、女性の部屋に入ることに抵抗ないのかな?なんか慣れてる感じがした。
人一人分のスペースを開けて、私も聡太君の隣に座った。
スプリングがぎしり、と音を立てた。
「……さっきはゴメン。なんか嫌な態度取っちまって…自分でもワケわかんなくなって…」
膝の上で合わせた手のひらを見つめながら聡太君が呟いた。
「あ、いいよ、そんなの…気にしてないし…気にしないで」
私は少し笑った。こうして至近距離で横顔を見ていると、聡太君て本当に素敵な男の子だ。
切れ長の目はまつ毛が長くて、鼻筋はすっきりとしてて。
それなのに冷たい感じがしないのは、唇が厚めだから。ちょっとタラコっぽい弾力のありそうなそれは、つい触れてみたくなる。
聡太君がいきなりこちらを向いて、私と視線がぶつかった。
私は、慌てて目をそらした。