ビオラ、すずらん、年下の君


「俺のこと……男として見れない?」


聡太君のスレンダーな身体に似つかわしい、しなやかな指の拳。
ギュッと固く力強く結ばれたそれは、若い男の一途さに満ち溢れていた。


こんなに激しくストレートに求愛されたのって初めて……


聡太君の想いが胸にひしひしと伝わってきて、いつの間にか私の瞳からポロポロと涙がこぼれ落ちていた。









前略。
この度、弊社社員馬場友太郎に行った聞き取り調査によりますと、馬場友は佐原和香子さんに恋愛感情を持っていて、相思相愛だと思い込んでいたようです。

あの日のことは、悪意はなかったとはいえ、社会人として恥ずべき行為をしてまったと反省している様子です。決して、危害を加えるつもりはなかった、と話しております。

当社としては馬場友を配置転換することにいたしました。この処分をもって、この件は世間に公けにしないで頂けないでしょうか。

会社の信用を失墜しない為にも、
どうかよろしくお願い申し上げます。
敬具



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