ビオラ、すずらん、年下の君
ジューン・ハッピー・マリッジ
9ヶ月後の6月。


私は北海道のリゾート地で挙式をした。

2ヶ月前に入籍したばかりの羽田亮さんと腕を組んでバージンロードを歩いた。


遠方だったので、祝福の為に列席してくれた人はわずか。
でも、私は賑やかな結婚式より静粛な感じが良かったんだ。


ドレスもあまり飾りのないシンプルなものを選んだ。

羽田家側は仕事関係者へのお披露目も兼ねて、たくさん人を呼んで式を挙げた方が良かったみたいだけど、亮さんが私の希望を最優先してくれて夢が叶った。


今月末には、横浜元町で私の大学時代の仲良し4人組と幼なじみのユッコ、みなちゃん、そして、羽田さんの友人達を招いて、ささやかなレストラン・パーティーをする予定。


結婚式で1番嬉しかったこと。


それは亮さんが私の左手薬指にリングを嵌めてくれたこと…じゃない。

大きな声じゃ言えないけど、これは2番目。


「マジすっげえ綺麗。幸せになれよ」


優しい眼差しで、こんな大人びた言葉を私にくれた年下の男の子。

紺のブレザーを身に纏ったスレンダーな彼は、今年の春から北海道の国立大で獣医を目指す吉田聡太君。






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