ビオラ、すずらん、年下の君


朝のバス停。
6:30分発、駅前ロータリー行き。


すらりとした紺ブレザーの制服姿のその子は、ブラウンがかった前髪を風になびかせていた。

奥二重の少し釣りあがった目が印象的で。

あ、背も高いし、イケメンだな、というのが私の第一印象。


バス停が同じなのだから、家も近所なのかもしれないけど、今まで一度も見かけたことがなかった。

どこからか引っ越してきたのかもしれない。

いつも肩に黒いエナメルのスポーツ・バッグを掛けていて。
何かの運動部に入っていて、朝練のためにこんなに早く登校するのかな、と私は勝手に思った。


それにしても、これで少し楽しみが出来たな。

思わずニヤニヤしちゃいそうになって、慌てて顔を引き締める。

前の勤め先には、原付バイクで通っていたけれど。転職したばかりの今の会社は、繁華街に近いから、バスに乗って電車を使う。


目下の悩みは、通勤時間が3.5倍になったこと。
それに、バスの最大の欠点も重なる。とにかく時間通り来ない。

こんな早朝でも10分や15分遅れるのは、当たり前。




< 2 / 159 >

この作品をシェア

pagetop