ビオラ、すずらん、年下の君
朝のバス停。
6:30分発、駅前ロータリー行き。
すらりとした紺ブレザーの制服姿のその子は、ブラウンがかった前髪を風になびかせていた。
奥二重の少し釣りあがった目が印象的で。
あ、背も高いし、イケメンだな、というのが私の第一印象。
バス停が同じなのだから、家も近所なのかもしれないけど、今まで一度も見かけたことがなかった。
どこからか引っ越してきたのかもしれない。
いつも肩に黒いエナメルのスポーツ・バッグを掛けていて。
何かの運動部に入っていて、朝練のためにこんなに早く登校するのかな、と私は勝手に思った。
それにしても、これで少し楽しみが出来たな。
思わずニヤニヤしちゃいそうになって、慌てて顔を引き締める。
前の勤め先には、原付バイクで通っていたけれど。転職したばかりの今の会社は、繁華街に近いから、バスに乗って電車を使う。
目下の悩みは、通勤時間が3.5倍になったこと。
それに、バスの最大の欠点も重なる。とにかく時間通り来ない。
こんな早朝でも10分や15分遅れるのは、当たり前。
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