ビオラ、すずらん、年下の君


「んじゃ、羽田さんは結婚したらたくさん欲しい派?」


う、と羽田さんは言葉を詰まらせ、なぜかしどろもどろになった。


「うん…ま、まあまあ欲しいか、な…そ、その方が楽しい…しな」


タオルハンカチを取り出し、おでこに吹き出た玉のような汗を拭く。

そんなに暑いかな?クーラー効いてるのに。まさかオトコの更年期?あ、まだ早いか、失礼。


「ああ、そういえばあ、」


私は自分のデスクの1番下の引き出しから(私物いれになっている)小さな紙袋を取り出した。

立ち上がり、パソコンのディスプレイの上で賞状を手渡すみたいにした。


「あのお、つまらないのもですが。お誕生日おめでとうございます、ハイ♪」


「えええっ!?俺にぃ?」


自分を指差し、目をまん丸くする。
イヤ、靴下程度でそんなされても恐縮ですわ。


「なんで俺の誕生日知ってるの?」


え?こないだ会話の流れで自分で言ったじゃない…。
私の誕生日も教えたし。


「いやあ、羽田さんのことなら私なんでも知ってるんですよ、なんちゃって♪」


「え~マジかよ?誕生日にこんなしてもらうの久しぶりだなあ。ありがとう、佐原さん…」


「いいですよ、いつもお世話になっていますから」


「無茶苦茶感激したよ、嬉しいな~~」






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